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化粧品開発で欠かせない容量設定の基本とポイント

化粧品の開発において、容量の設定は製品の魅力や消費者の満足度を左右する重要な要素の一つです。適切な容量設定を行うことで、消費者が製品を効果的に使用でき、リピート購入に繋がる可能性が高まります。本記事では、化粧品における容量の定義、容量設定の基本、容器に対する容量の考え方、そして表示方法について解説します。化粧品事業参入を検討している事業者にとって、容量設定のポイントを理解することが、成功のカギを握ります。

化粧品における容量とは

容量とは、化粧品製品に含まれる中身の量を示す数値であり、一般的には重量(g)や体積(mL)、個数などで表されます。日本の化粧品市場では、10gまたは10mL以上の容量を持つ製品について、内容量の表示が義務付けられています。この容量は容器や包装を含まない「正味量」を示し、消費者が購入時に判断する重要な指標となります。

化粧品の容量例

  • 洗顔料:150mL前後
  • 化粧水:100〜300mL
  • シャンプー・コンディショナー:300〜500g
  • リップクリーム:5g前後

容量は製品ごとに異なり、使用目的や消費者ニーズに応じた適切な設定が必要です。

容量設定の基本

化粧品の容量は、製品の使用頻度、消費者層、コストなど複数の要素を考慮して設定されます。容量設定の基本的なアプローチとして以下の方法が挙げられます。

1. 使用量と使用回数から決める方法

容量設定の基本は、「1回あたりの使用量 × 使用回数」で計算する方法です。化粧品を使用する頻度や期間、そして製品を使い切るまでの回数を予測し、それに基づいて適切な容量を設定します。

使用量の決め方

化粧品の使用量は、一般的に「100円玉大」「さくらんぼ大」といった表現で示されることが多いです。このような基準をもとに、消費者が1回にどれだけの量を使うかを想定します。たとえば、化粧水ならば1回あたり3〜5mL、シャンプーなら1回あたり約10mLが目安です。

使用回数の決め方

使用回数は、製品がどのくらいの期間使われることを想定するかによって異なります。一般的に1〜3ヶ月程度で使い切る容量が設定されることが多く、シャンプーや洗顔料のような日常的に使う製品は、これを基準に考えることが有効です。

2. 原価から決める方法

次に、原価を基にした容量設定も重要なポイントです。化粧品は原料や製造コスト、容器コスト、輸送コストなどが掛かるため、これらのコストを考慮して利益を出せる容量を決定します。

原価計算のポイント

化粧品のバルク(内容物)の原料コストだけでなく、充填コストや容器コストなどを総合的に考慮し、売価とのバランスを保ちながら容量を決定します。高価な原料を使用する場合は、容量を抑えることで原価を抑え、利益を確保できるように設計します。

3. 商品コンセプトや競合品から決める方法

容量を決定する際には、商品コンセプトや競合品も大きな要素となります。市場に存在する同じカテゴリの製品の容量を調査し、自社製品のポジショニングに合わせて容量を調整します。

競合分析の重要性

例えば、同じ価格帯の競合品が150mLの化粧水を提供している場合、容量で差別化するか、同等に設定して価格競争力を持たせるかといった判断が求められます。また、商品のプレミアム感を出すために、あえて少量の高濃度製品にする選択肢もあります。

化粧品容器に対する容量の決め方

化粧品容器は容量に対して適切なサイズを選定する必要があります。小さすぎる容器は使い勝手が悪く、多すぎる容器は中身が少なく感じられ、消費者にネガティブな印象を与えることがあります。

容器の満中量(オーバーフロー容量)

容器の満中量とは、容器が最大限に満たされた状態での容量を指し、製品の実際の容量はそれより少ないことが一般的です。製造時には、ヘッドスペースと呼ばれる余裕部分を残すことで、充填や輸送時の中身の膨張や漏れを防ぎます。通常、10%程度のヘッドスペースを確保します。

公正取引委員会の規定

化粧品容器に対する容量設定は、公正取引委員会の規定によって以下のように定められています。

  • 内容物の体積は容器容量の40%以上でなければならない。
  • ガラス製容器や特定のプラスチック容器では、内容量が40g以下の場合、30%以上でよいとされています。

容器の容量に対して適正なバランスを保つことで、消費者に不信感を与えず、満足度を高めることが可能です。

容量の表示方法

化粧品の容量は、製品パッケージに正確に表示することが法的に義務付けられています。表示に関するルールは「医薬品医療機器法(薬機法)」や「化粧品の表示に関する公正競争規約」に基づきます。

表示場所

容量を含む表示項目は、製品のパッケージまたは容器に記載する必要があります。外箱や直接容器に記載し、消費者が確認しやすい場所に配置します。

記載単位

記載する容量の単位は、以下のように区分されます。

  • 重量:g(グラム)
  • 体積:mL(ミリリットル)
  • 個数:個、枚、本 など

製品の粘度や形状に応じて最適な単位を選びます。たとえば、粘度が低いローション系はmL、粘度が高いクリーム系はgで表示するのが一般的です。

許容誤差

表示量と実際の内容量には、誤差が発生する場合があります。一般的には、±3%以内の誤差が許容されていますが、内容量が10gまたは10mL以下の場合は、±9%以内で許容されます。

まとめ

化粧品開発において、容量の設定は消費者満足度と利益確保に直結する重要な要素です。使用量や原価、商品コンセプト、競合分析など複数の視点から適切な容量を決定することで、製品の魅力を最大限に引き出すことができます。また、容器に対して適正な容量を確保し、公正な表示を行うことで、消費者の信頼を得ることができるでしょう。

化粧品事業に参入する際には、容量設定の基本を理解し、最適な製品設計を心掛けてください。